団地を鑑賞する

この記事は某アドベントカレンダーに12/13のテーマ #おアート で参加しています。

 

 

みなさんは好きな形ってありますか。

わたしは四角形のものが好きです。整列しているとなおよい。

四角形のものを眺めて「いいなあ」と思いたい。そういう欲求を満たしてくれるものが、そう、団地です。

 

 

団地って、いいよね

「団地」と聞いて、どんなことをイメージするでしょうか。

団地ともお耳をすませば、たぬき、千葉雄大、……など人それぞれだと思います。

わたしは団地と呼ばれる建物を見るのがめちゃくちゃ好きです。出張や旅行などに出掛けた際には、滞在した土地の付近にある団地を調べて寄り道し、眺めたり写真を撮ったりしています。

これは職場近くの団地。別に旅先でなくとも撮っている。

果たしてアートに含まれるのか?という感じではありますが、「鑑賞」にこじつけて団地のよさを語らせてもらおうと思います。

 

 

1. 団地の構造を楽しむ

立地や建造時期などでさまざまな違いはあれど、団地にはある程度の決まった構造があります。まずは比較的よく見るタイプの団地を見てみましょう。

 

桃陵団地 (京都府)

桃陵団地の案内板

いきなり案内図からですみません。これは京都市営桃陵団地にある案内板です。

似た形状の住棟が平行に建ち並んでいます。桃陵団地では東西 (図の上下) 向きに住棟が伸び、北側 (図の左) に棟の入口があります。これはそのまま平行配置と呼ばれ、全国でよく見られるものです。

平行配置の住棟を南側から見る。

多く見られる理由は簡単で、南からの日照を確保するためです。

住棟を南から見てみると、大きな窓とベランダが並んでいます。四角くてかわいい!入口や階段を北側に配置することで、南側の壁を採光のために広く利用できるんですね。

北側とスターハウス

少し見えづらいですが、左端に写っているのが先程の住棟と同じタイプの建物の北側です。南側と比べて窓が小さく少ないですね。

やや張り出している部分が階段室です。耳をすませば』で雫のお姉ちゃんがハガキの束を投げていたのはここ。

 

右の方にあるのはスターハウスと呼ばれる住棟です。上から見るとY字型になっているめちゃおもしろ住棟。平行配置ばかりで景観が単調になってしまわないように配置されました。(あと余った敷地をうまいこと利用するため。)

桃陵団地のスターハウス

素敵すぎませんか、この建物。中央に三角形の階段室があり、三方向に住居が生えているおもしろ構造。建造物でこの向きに120°を見ることってあんまりありませんよね。サイズ感もかわいくてずっと眺めていられます。

スターハウス型の住棟は建てられた地域や年代が限られており、わたしの住む地域では見たことがなかったので初めて見たときはものすごくテンションが上がりました。桃陵団地では空室が多かったこともあり、たくさん眺めて写真も撮れました。よかったね。

 

脱線:夜よこノ窓は塗らないデ

夜よこノ窓は塗らないデ」とは、『アイドルマスターシャイニーカラーズ』に登場するアイドル 七草にちか さんのpSSRカードですね。実装当時、カードイラスト・ストーリー共に話題になっていたのを覚えています。

この背景に描かれている団地、別ににちかさんのお家ではないただの風景っぽいんですが、少し珍しいんじゃないかと思います。たぶん。

先ほどの桃陵団地の写真と比べてもらうと違いが分かりやすいんですが、イラストではベランダと大きな窓がある側 (南側) に階段の入口があります。こういう住棟自体は普通にあるんですが、よくあるパターンだと北入り型の住棟と組み合わせて配置されるんです。

こう。住民の交流や導線などのために配置が工夫される。

上の図が桃陵団地のように同じ住棟が並べて配置されるパターン。下の図が南北に入口がある住棟が交互に配置されるパターン。

にちかさんの後ろにある住棟は、向かい合わせの建物がある訳でもないのに南側が入口になっているんですね。不思議〜〜

こういう建て方の理由を知る有識者、いたら教えてください。

 

 

2. 団地の違いを楽しむ

川内公務員住宅 (宮城県)

すでにさんざん話題にした階段室。4階とか5階建ての団地によくあるやつなんですが、これにもバリエーションがあります。

写真が撮れなかったのでGoogleMapより

これは東北大の職員寮的なやつらしく、いわゆる公営や公団 (今のUR) の団地とは厳密には違うんですが。

階段室の部分 (右から5番目の窓。小窓に挟まれてるの。) にガラスが嵌っています。冒頭の写真などではここは開放されて外と繋がっていました。寒冷地の団地だと、耐寒のためにこのように塞がれている住棟がよく見られます。

 

紫原団地 (鹿児島県)

紫原団地の住棟は片廊下型

写真からもわかると思いますが階数が高いですね。高層の住棟は比較的新しい団地に多いです。建物の片側に共用廊下がある、一般のマンションやアパートでもよく見る片廊下型の構造です。

紫原団地は色合いがかわいい。写真中央の接続部分、テンションが上がる角度をしています。

 

 

3. イカしたデザインの団地

典型的なデザインの団地もあれば、そこにしかない個性をもつ団地もあります。

 

赤羽台団地 (東京都)

かの有名な赤羽台団地のスターハウス

めちゃくちゃかわいい!!

これは団地好きな人ならみんな知っているであろう、赤羽台団地です。特徴的な色合いが素敵ですね。スターハウスといえば赤羽台団地、赤羽台団地といえばスターハウスみたいなところがあるんですが、なんとこの住棟たち、国の有形文化財に登録されているのです。

実は現在残存しているスターハウスはかなり少なく、残っているものも老朽化のためほとんど取り壊しが決まっています。そんな中で文化財として保存されていく赤羽台団地のスターハウスはとても貴重です。ありがたや。

ちなみにエレカシのボーカル宮本浩次さんが暮らしていたことでも有名ですね、赤羽台団地。

新旧が共存

わたしが見に行った時期はちょうど建て替え真っ最中で、新旧の住棟が並んでいるところをしっかり見られて大感激でした。新しい棟もいいね、四角くて。

封鎖された棟でくつろぐ猫。こういう出会いもある。

 

新地団地 (熊本県)

わたしは熊本県生まれなのですが、地元にある個性強めの団地も紹介したいと思います。

アンジュルムの現リーダー上國料萌衣さんの出身地であることとめちゃめちゃ稼ぐ黒いくまがいることしか自慢がないので有名な熊本県ですが、実はとてもスタイリッシュな団地があります。

新地団地B棟。赤くてオシャレ。

明らかに奇抜ですね。赤い外壁に小洒落たらせん階段。

そこそこの田舎になぜこんな団地があるのかというと、くまもとアートポリスという取り組みの一貫らしいです。

kumamoto-artpolis.com

優れた建造物を造ったり表彰したりしようという企画です。これ自体はかなり前のプロジェクトなんですが、新地団地含め、おもしろいデザインの建物を今でも県内各地で見ることができます。

新地団地はそれぞれ形の異なるA~E棟からなります。

新地団地C棟。東西に長い。渡り廊下、いいね。

新地団地D棟北側。階段が特徴的。

新地団地D棟南側。タイルの色がいいね。

このようにとっても見応えのある団地なんですが、以前どこかの建築学科の学生が調査したところによると、D棟の特徴的な階段などは住民からすると普通に「不便」らしい。味がありますね。

 

脱線:香港の集合住宅

香港のマンション。何戸あるんだ。

ブレブレですみません。走行中のバスの2階から撮ったので。

中国・香港の集合住宅の密集っぷりは有名です。今はなき九龍城砦 (きゅうりゅうじょうさい) など、聞いたことあるという人も多いのではないでしょうか。

積み上がってますね、四角。最高です。

ビビッドな外壁

画一的〜〜〜

高層マンションも真四角

これでもかというほど四角い。日本の団地もいいですが、香港の集合住宅も違った魅力がある。

 

 

終わりに

少しでも団地のよさが伝わっていたら嬉しいです。

今回は自分で見に行った中から紹介しましたが、これ以外にも有名でまだ実際に見たことがない団地がたくさんあります。神奈川の河原町団地とか、広島の鈴が峰住宅とか。いつか行きたい。

団地鑑賞、外出のついでに気軽に楽しめるのでおすすめです。居住者の方がいる場合、鑑賞と撮影には注意が必要ですが。

 

ネット上には団地愛溢れるファンサイトがいくつもあるのでそれを見るだけでも楽しいです。

 

あとURのサイトでは団地の情報が詰まったパンフレットが無料で見られます。ありがとうございます。

www.ur-net.go.jp

 

今度見かけたら眺めてみてくださいね、団地。

ここまで読んでいただきありがとうございました。