ツカエルさんを知ってほしい

この記事は某アドベントカレンダーに参加しています。

12/22のテーマは #うろこ・ぬめり系 です。

 

爬虫類・両生類・魚類などを愛でるチャンネルですね。

わたしは幼少期より彼らが大好きです。近所の田んぼでカエルを追いかけ、小学校の自由研究では家に来るヤモリがいつも同じ個体なのかお腹に番号を書いて調べました。水族館で買ってもらったウミガメのぬいぐるみがお気に入りで旅行に連れ回していたし、今でも好きすぎて枕元に置いています。大人なのに。

かめりん

 

そんな子ども時代を経て社会人になり、カエルを飼いたいな〜とずっと思っているのですが、日中仕事で家を空けることを考えると (あと生命の責任を負うことを考えると) なかなか実現できずにいます。

 

amzn.asia

 

カエルの写真を見てにこにこし、みなさんが投稿されるヘビ氏カメ氏などのお写真を拝見しては「萌」を押すばかりの毎日です。

 

ということで実物のカエル写真は提供できないので、あるキャラクターを紹介したいと思います。

 

カエルのキャラクターといえばけろけろけろっぴカーミット、がまくんとかえるくん、ケロロ軍曹ゲッコウガ蛙吹梅雨ちゃんなどなどたくさんの有名なキャラがいますが、今回知っていただきたいのは出会う機会がきっと少ないであろうこのカエル。

 

ツカエルさん (九州ろうきん公式LINEより)

九州ろうきんのキャラクター、ツカエルさんです。かわいい〜〜〜

このツカエルさん、テレビCMなんかでも見かけることがあったのでてっきり全国のキャラかと思っていたのですが、どうやら「九州」ろうきんのキャラだったらしい。こんなにかわいいのに、全国に知られないなんてもったいない。

橋本環奈さんとも共演している

ツカエルさん、金融機関のキャラクターなのでグッズが一般に販売されているわけではありません。検索してみると利用者がノベルティ的な感じでもらったグッズの写真がたくさん出てきますが、普通に購入はできないのでもどかしい。

 

公式にツカエルさんを見るには、もう九州ろうきんのサイトを訪問するしかありません。

kyusyu-rokin.com

 

 

 

 

いた!

 

カーライフローン

ここにも

 

youtu.be

動画にも

 

労働している

サイト内には各所にツカエルさんの姿が

 

人材として求められている

かわいいですね……

表情が素晴らしい。チャームポイントのお口は貯金箱の投入口がイメージされています。

 

上述のように一般にグッズ展開がされているわけではないので、公式サイトにちょこちょこ現れる姿が外側から見られる最新のツカエルさんのほぼすべてです。過去のイラストにもかわいいものがたくさんあるので、どうにかまとめて公開してほしい…

 

どうでしたか?かわいかったですね。

九州に関係ない人には縁遠いキャラクターに感じるかもしれませんが、実はLINEスタンプもあります。かわいい上に使い勝手もいい。

store.line.me

 

ツカエルさんをこれからもよろしくお願いいたします。

 

団地を鑑賞する

この記事は某アドベントカレンダーに12/13のテーマ #おアート で参加しています。

 

 

みなさんは好きな形ってありますか。

わたしは四角形のものが好きです。整列しているとなおよい。

四角形のものを眺めて「いいなあ」と思いたい。そういう欲求を満たしてくれるものが、そう、団地です。

 

 

団地って、いいよね

「団地」と聞いて、どんなことをイメージするでしょうか。

団地ともお耳をすませば、たぬき、千葉雄大、……など人それぞれだと思います。

わたしは団地と呼ばれる建物を見るのがめちゃくちゃ好きです。出張や旅行などに出掛けた際には、滞在した土地の付近にある団地を調べて寄り道し、眺めたり写真を撮ったりしています。

これは職場近くの団地。別に旅先でなくとも撮っている。

果たしてアートに含まれるのか?という感じではありますが、「鑑賞」にこじつけて団地のよさを語らせてもらおうと思います。

 

 

1. 団地の構造を楽しむ

立地や建造時期などでさまざまな違いはあれど、団地にはある程度の決まった構造があります。まずは比較的よく見るタイプの団地を見てみましょう。

 

桃陵団地 (京都府)

桃陵団地の案内板

いきなり案内図からですみません。これは京都市営桃陵団地にある案内板です。

似た形状の住棟が平行に建ち並んでいます。桃陵団地では東西 (図の上下) 向きに住棟が伸び、北側 (図の左) に棟の入口があります。これはそのまま平行配置と呼ばれ、全国でよく見られるものです。

平行配置の住棟を南側から見る。

多く見られる理由は簡単で、南からの日照を確保するためです。

住棟を南から見てみると、大きな窓とベランダが並んでいます。四角くてかわいい!入口や階段を北側に配置することで、南側の壁を採光のために広く利用できるんですね。

北側とスターハウス

少し見えづらいですが、左端に写っているのが先程の住棟と同じタイプの建物の北側です。南側と比べて窓が小さく少ないですね。

やや張り出している部分が階段室です。耳をすませば』で雫のお姉ちゃんがハガキの束を投げていたのはここ。

 

右の方にあるのはスターハウスと呼ばれる住棟です。上から見るとY字型になっているめちゃおもしろ住棟。平行配置ばかりで景観が単調になってしまわないように配置されました。(あと余った敷地をうまいこと利用するため。)

桃陵団地のスターハウス

素敵すぎませんか、この建物。中央に三角形の階段室があり、三方向に住居が生えているおもしろ構造。建造物でこの向きに120°を見ることってあんまりありませんよね。サイズ感もかわいくてずっと眺めていられます。

スターハウス型の住棟は建てられた地域や年代が限られており、わたしの住む地域では見たことがなかったので初めて見たときはものすごくテンションが上がりました。桃陵団地では空室が多かったこともあり、たくさん眺めて写真も撮れました。よかったね。

 

脱線:夜よこノ窓は塗らないデ

夜よこノ窓は塗らないデ」とは、『アイドルマスターシャイニーカラーズ』に登場するアイドル 七草にちか さんのpSSRカードですね。実装当時、カードイラスト・ストーリー共に話題になっていたのを覚えています。

この背景に描かれている団地、別ににちかさんのお家ではないただの風景っぽいんですが、少し珍しいんじゃないかと思います。たぶん。

先ほどの桃陵団地の写真と比べてもらうと違いが分かりやすいんですが、イラストではベランダと大きな窓がある側 (南側) に階段の入口があります。こういう住棟自体は普通にあるんですが、よくあるパターンだと北入り型の住棟と組み合わせて配置されるんです。

こう。住民の交流や導線などのために配置が工夫される。

上の図が桃陵団地のように同じ住棟が並べて配置されるパターン。下の図が南北に入口がある住棟が交互に配置されるパターン。

にちかさんの後ろにある住棟は、向かい合わせの建物がある訳でもないのに南側が入口になっているんですね。不思議〜〜

こういう建て方の理由を知る有識者、いたら教えてください。

 

 

2. 団地の違いを楽しむ

川内公務員住宅 (宮城県)

すでにさんざん話題にした階段室。4階とか5階建ての団地によくあるやつなんですが、これにもバリエーションがあります。

写真が撮れなかったのでGoogleMapより

これは東北大の職員寮的なやつらしく、いわゆる公営や公団 (今のUR) の団地とは厳密には違うんですが。

階段室の部分 (右から5番目の窓。小窓に挟まれてるの。) にガラスが嵌っています。冒頭の写真などではここは開放されて外と繋がっていました。寒冷地の団地だと、耐寒のためにこのように塞がれている住棟がよく見られます。

 

紫原団地 (鹿児島県)

紫原団地の住棟は片廊下型

写真からもわかると思いますが階数が高いですね。高層の住棟は比較的新しい団地に多いです。建物の片側に共用廊下がある、一般のマンションやアパートでもよく見る片廊下型の構造です。

紫原団地は色合いがかわいい。写真中央の接続部分、テンションが上がる角度をしています。

 

 

3. イカしたデザインの団地

典型的なデザインの団地もあれば、そこにしかない個性をもつ団地もあります。

 

赤羽台団地 (東京都)

かの有名な赤羽台団地のスターハウス

めちゃくちゃかわいい!!

これは団地好きな人ならみんな知っているであろう、赤羽台団地です。特徴的な色合いが素敵ですね。スターハウスといえば赤羽台団地、赤羽台団地といえばスターハウスみたいなところがあるんですが、なんとこの住棟たち、国の有形文化財に登録されているのです。

実は現在残存しているスターハウスはかなり少なく、残っているものも老朽化のためほとんど取り壊しが決まっています。そんな中で文化財として保存されていく赤羽台団地のスターハウスはとても貴重です。ありがたや。

ちなみにエレカシのボーカル宮本浩次さんが暮らしていたことでも有名ですね、赤羽台団地。

新旧が共存

わたしが見に行った時期はちょうど建て替え真っ最中で、新旧の住棟が並んでいるところをしっかり見られて大感激でした。新しい棟もいいね、四角くて。

封鎖された棟でくつろぐ猫。こういう出会いもある。

 

新地団地 (熊本県)

わたしは熊本県生まれなのですが、地元にある個性強めの団地も紹介したいと思います。

アンジュルムの現リーダー上國料萌衣さんの出身地であることとめちゃめちゃ稼ぐ黒いくまがいることしか自慢がないので有名な熊本県ですが、実はとてもスタイリッシュな団地があります。

新地団地B棟。赤くてオシャレ。

明らかに奇抜ですね。赤い外壁に小洒落たらせん階段。

そこそこの田舎になぜこんな団地があるのかというと、くまもとアートポリスという取り組みの一貫らしいです。

kumamoto-artpolis.com

優れた建造物を造ったり表彰したりしようという企画です。これ自体はかなり前のプロジェクトなんですが、新地団地含め、おもしろいデザインの建物を今でも県内各地で見ることができます。

新地団地はそれぞれ形の異なるA~E棟からなります。

新地団地C棟。東西に長い。渡り廊下、いいね。

新地団地D棟北側。階段が特徴的。

新地団地D棟南側。タイルの色がいいね。

このようにとっても見応えのある団地なんですが、以前どこかの建築学科の学生が調査したところによると、D棟の特徴的な階段などは住民からすると普通に「不便」らしい。味がありますね。

 

脱線:香港の集合住宅

香港のマンション。何戸あるんだ。

ブレブレですみません。走行中のバスの2階から撮ったので。

中国・香港の集合住宅の密集っぷりは有名です。今はなき九龍城砦 (きゅうりゅうじょうさい) など、聞いたことあるという人も多いのではないでしょうか。

積み上がってますね、四角。最高です。

ビビッドな外壁

画一的〜〜〜

高層マンションも真四角

これでもかというほど四角い。日本の団地もいいですが、香港の集合住宅も違った魅力がある。

 

 

終わりに

少しでも団地のよさが伝わっていたら嬉しいです。

今回は自分で見に行った中から紹介しましたが、これ以外にも有名でまだ実際に見たことがない団地がたくさんあります。神奈川の河原町団地とか、広島の鈴が峰住宅とか。いつか行きたい。

団地鑑賞、外出のついでに気軽に楽しめるのでおすすめです。居住者の方がいる場合、鑑賞と撮影には注意が必要ですが。

 

ネット上には団地愛溢れるファンサイトがいくつもあるのでそれを見るだけでも楽しいです。

 

あとURのサイトでは団地の情報が詰まったパンフレットが無料で見られます。ありがとうございます。

www.ur-net.go.jp

 

今度見かけたら眺めてみてくださいね、団地。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

 

音楽と記憶

 

この記事は某アドベントカレンダー企画に寄せて書いたものです。

 

 

嗅覚の記憶は脳の中に長く残る。だから、ある匂いを嗅いだときに記憶の中の出来事が蘇ることがある。

 

この話、創作作品の中でもときどき語られているように思うので、聞いたことがある人も多いんじゃないでしょうか。

 

NANAのヤスもこう言っています。 (NANA 15巻 矢沢あい/集英社)

 

でも個人的には匂いよりも、音楽が強く結びついている記憶のほうがたくさんあります。ある曲を聴いたときに、当時の出来事とか感情とかがバーッと蘇ってくるみたいな。

たぶん昔から音楽が好きで、意識が向いているからなのかなと思っています。単に自分の鼻が効かないからという可能性はある。

 

今日12/18のテーマは#音楽ということで、音楽と強く結びついた記憶に注目しながら自分の音楽遍歴を振り返ってみたいと思います。音楽好きな人はあるあるに共感してもらえたら、別に好きじゃない人はオタクが醸成される過程を楽しんでもらえたら嬉しいです。

 

 

拗らせの始まりがいつだったのかは分からない。

人生で一番最初に買ったCD、覚えてますか。

そもそも自分より下の年代ではCDを買う機会が減っているのではという感じはありますが。

 

わたしが初めて自分のために買ってもらったCDは「めざせポケモンマスター」だった。幼児だったわたしはB面として収録されている「ポケモン言えるかな?」を覚えたくてそれが欲しかったので、表題曲を見て「これじゃない」と親にめちゃくちゃ抵抗した。これでした。

ほとんど同時期に買ったのがSPEEDのベストアルバム「Dear Friends」。2枚組だったので、どちらか選ばないといけないのか…と思っていたら2枚とも買ってもらえた。よかったね。

 

あとは自分のCDは持っていなかったけど、親が聴いていたので幼い頃からスピッツを聴いていた。今ではひとつに決められないくらいたくさん好きな曲があるけど、その頃の記憶が一番残っているのは「空も飛べるはず」。

 

youtu.be

 

車の中なんかでも聴いていたと思うけど、ひとつのシーンとして思い出すのが家で録画したテレビ番組を見ていたときのこと。再生しようとしたら知らないドラマが始まって、空も飛べるはずが流れていた。冒頭だけでドラマの録画は終わっていて、そのときはよく分からなかったけど、あとになって「白線流し」というドラマだと知った。その当時わたしが録画してたのなんてポケモンわくわくさんくらいだったので、時系列的にもたぶん再放送かなにかが間違って録られていたんじゃないかと思う。

同じものを繰り返し見るタイプの子どもだったので、その冒頭も反復して見ていた。そのせいか、空も飛べるはずを聴くと必ずその映像を思い出す。

 

小学生の頃はモーニング娘。の全盛期だった。すでに逆張りオタクの片鱗を見せていたわたしは素直に好きと言えなくて、別にファンじゃありませんみたいな顔をしていた。本当は石川梨華ちゃんがすきだった。いま重めのハロヲタなのはこのときの反動なのかもしれません。

何が原動力だったのか全く分からないけど、「みんなが好きと言っているもの」以外を好きになりたいという拗れた気持ちがやたら強かったようだ。小中学生当時めちゃくちゃ流行っていたORANGE RANGEのことも少し斜に構えて見ていた。嫌なやつだな。

 

小学校高学年のときにCD・MDコンポを買ってもらって (KENWOODの黄色いやつ)、その後携帯型のMDプレイヤーを手に入れたので (SONYのオレンジのやつ)、中学生の頃はMDに入れた曲をずっっと聴きながら勉強していた。CDの枚数も大して持っていなかったので同じアルバムを延々とリピートしていて、当時聴いていた曲は今聴いても自動的に次の曲のイントロが頭に浮かぶし、当時解いていた問題集のページが鮮明に思い出される。シナプスとはおもしろいものですね。

 

 

その頃に、初めて音楽と記憶の結びつきが強く意識にのぼる出来事があった。

当時、ちょっとしたことをきっかけに友人との仲が気まずくなってしまった。今思えば子ども同士の些細なすれ違いなのだが、中学生のわたしには一大事だった。自分は友だちと喧嘩したりぶつかったりしたことがほとんどなかったのもあって、ものすごく落ち込んだ。何をしていてもそのことを考えてしまって、ずっともやもやして気が晴れないみたいな。

そんなときにたまたまテレビで、当時放送されていたドラマの主題歌Mr.Childrenの「Sign」が流れているのを耳にした。

 

youtu.be

 

別に聴いた瞬間に感動して涙が出たとか、大きく感情が動いたとかいうわけではない。ミスチルは好きだったのでいいなあとは思ったけど。

 

でもそれから友人との関係が解決した後になっても、Signを聴くとそのときの感情が思い出されるようになった。苦々しい感じがあまりに忠実に蘇るので聴けなくなって、普通に聴けるようになったのは大学生になってからだった気がする。

こんなに鮮明に嫌な気持ちを思い出すものなんだなと驚いて、それだったら気が落ちているときに曲を聴くのはやめようと思った。好きな曲を聴けなくなるので。

 

こっちは嫌な記憶だったけど、中学時代に聴いて強烈に覚えている曲がもう1つあって、これは色褪せない記憶とでも言うべき曲。

 

youtu.be

 

くるりの「ロックンロール」。たしか長期休暇中、部活か塾かが終わって家に帰ったら兄がテレビを見ていた。スペースシャワーTVか何かの特集だったんだと思う。わたしはそのとき初めてくるりを聴いて、かっこよくて衝撃的に好きだと感じた。あの日実家のリビングで、ソファに座ってる兄の後ろからロックンロールのPVが流れる白っぽい画面を見たときのこと、今でもはっきり思い出せます。

これがたぶん自分のバンド好きの始まりで、このあと兄からお下がりのiPodをもらったことで色んなバンドの音源を漁ることができたので、兄にはとても感謝している。

 

 

高校時代に形成された自意識についてはわりと今でも後悔している。

自分のiPodを買い直してからも兄にもらった曲たちを聴くのは続けていた。いいなと思ったバンドがあったら新しくCDを買ったりTSUTAYAでレンタルしたり。

スピッツくるりは相変わらず好きだったけど洋楽も聴くようになって、JETとかThe Fratellisとかが気に入っていた。Radioheadを知ったのも高校時代だった。

 

次からの段落はかなりアレなので心して読んでください。

 

高校3年生の頃から、さっき書いたバンドより知名度は下がるけどNine Black Alpsというイギリスのバンドと、髭 (HiGE) という日本のバンドに異常なほどにハマっていた。曲が好きだったのは絶対に本当だけど、「知名度が低い」ことがハマりを加速させていたことは否めない。これは今振り返ってそう思うのではなく、当時から自覚していたことだ。

わたしはそこそこ真面目で成績がよく、地味な女子高生だった。そういう自分がややマイナーな音楽を聴いているという事実が「いい」んじゃないか、という意識があった。外側からキャラクターとして見たときに、おもしろいんじゃないかって。

これって中二病の一種でいいんでしょうか。もし皆さんの妹さんがこういうことをしていたら、あたたかく見守ってあげてください。

 

そういう意識のまま大学生になった。入学後のオリエンテーション的なイベントで隣席の人と自己紹介し合うというとき、その子も音楽が好きだと言ったのもあって「音楽を聴くのが好き、好きなバンドは髭」と話した。その子は髭を知っていて会話が続いたけど (初手でマイナーめのバンドを出す変な奴だとは思ったらしい)、相手が違ったらわたしはどうするつもりだったんだろう。TPOは大切だ。

のちに彼とは同じ軽音楽サークルに所属してめちゃくちゃたくさん一緒にバンドを組むことになったので、結果的にはよかったです。

 

youtu.be

 

捩じ切れて尖った。

大学の軽音楽サークルに入ってたくさん人に出会って、今まであまり聴いたことのなかった音楽もたくさん知った。だけど当時、わたしは自分が好きな音楽以外をなんとなく侮っていた。これは本当によくなかったなあと思っている。未熟だった。拗らせていた自意識がさらに悪いほうへ進んだ結果、不必要な攻撃性を持ってしまったというか。

趣味に合わない音楽は単に自分がターゲット層にいないというだけで、上下があるわけでもないし、それを好きな人に自分がとやかく言う必要も権利もない。当たり前なんだけどわたしはこれに気づくのにめちゃくちゃ時間がかかった。気づいたときやっとちょっと大人になった気がしました。

そういう趣味に合わないジャンルとは別に、「流行り」を好きだということへの無駄な抵抗感も長々と続いた。聴く音楽を狭めるだけなので不幸なだけだったな。

今は治ったのでKing Gnuかっこいいって普通に言えるようになりました。

 

その音を聴くときいつもお菓子の寒氷を想像している。

ところでバンドではキーボード  (シンセサイザー) を担当していた。ピアノは幼少期から習っていたけどポップスをカバーしたのは学生時代が初めてで、その経験のおかげで曲がよりよく聞こえるようになった。それまでは全体でいいなあと思っていたのが、このフレーズのこの楽器がいいな、ここの音がいいな、みたいな。音色の好みみたいなのも細かくなったし言語化できるようになった。Square (矩形波) の音色が好きです。空気を多めに含んだ、ちょっと密度が低そうな音。

 

学生時代に演奏した曲はそれぞれにまつわる記憶が多すぎて語っていたら5万文字くらいになってしまいそうなので、原点回帰してとても爽やかな曲と似つかわしくない苦い記憶を紹介して終わりにします。

 

youtu.be

 

大好きな友人と先輩が演奏していた。とっても似合っていて素敵で、お互いの特別感みたいなものを感じた。その人たちはわたしにとっても特別だったから羨ましくて、でも自分はその人たちにとって同じくらい特別な存在にはなれないなと漠然と思った。

無性に悲しくなって、群青は大好きな曲だったのにそれを思い出すから長いこと聴けなかった。大人になったと思っていたけど昔とあんまり変わっていなかった。

別の人間なんだからそれぞれに関係は違うよなって普通に思えるようになってからは大丈夫になった。文字通り青かったですね。

 

 

心が落ち着いたら感情も鈍化したんだろうかと思うとちょっと悲しい。

それからさらに何年も経って、いよいよさすがに大人になった。変な尖りが少しは取れて丸くなったと思っている。だけど、ひとつの曲に記憶がこびりつくようなことも減ったような気がする。穏やかでいいけど、寂しくもある。

 

かなり長くなってしまったけど、音楽にまつわる色んな記憶について書きました。

完全に余談ですがTSUTAYAレンタルCD部門が縮小しているのがかなり悲しいです。「CDを所有したい」と「サブスクで聴ければいい」の間の欲が存在するので。学生時代はレンタルするCD10枚を選ぶのに2時間くらい店内をさまよっていた。

最近はいい加減どこかのサブスクに腰を落ち着けたいと思っている。オススメがあったら教えてください。